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【京都の弁護士グループ】安保法制に異議あり!怒れる女子たちの法律意見書(※男子も可)

怒れる京都の女性弁護士たち(男性弁護士も可)が安保法制の問題点について意見するブログです。

民間人に対する強制措置が整備された理由〜リアル・ウェブ学習会 実況版(その3)

ウェブ学習会

【1】おさらい~安保法制は調達、動員を行うために設計された法律群。

リアル・ウェブ学習会実況版(その2)では、安保法制は民間人から見たとき日本が武力攻撃された時に「国民を保護」していくための法体系ではなく、米軍に追随して自衛隊が防衛出動する際に日本の施設や物資をどういうふうに調達し、民間人をどう動員していくかの設計をした法律群であるということをしっかり見ていく必要がある、ということをお話ししました。

  
この法律群が実際にどう機能するかを超要約すると、次のようなフローチャートで説明できます。 

 

米軍の戦闘に自衛隊がいっしょに行動することになり、自衛隊が米軍に物品や役務(サービス)を提供することになった

     ▼

自衛隊員だけではサービス要員が不足するor自衛隊の備蓄だけでは物資が足りない

     ▼

民間企業、民間人の協力が必要だ

     ▼

協力体制をつくる。そして、協力しない企業・人には強制措置

 

これらの根拠法としては、武力攻撃事態対処法、自衛隊法、米軍行動関連措置法(米軍行動円滑化法と言う人もいます)、国民保護法です。

このうちメインは武力攻撃事態対処法ですね。
自衛隊と米軍が武力攻撃を排除するために必要な行動が円滑に行われるための、物品・施設・役務(サービス)の提供、その他の措置ができることになりました。

水・オイル・食事などの物品や役務(サービス)の提供もできます。
物品も輸送するし、兵隊を輸送することもあります。
輸送用資材も提供できます。
あと、修理・修繕と整備、土木建築工事などですね。
昔、「戦場に架ける橋」という映画がありましたが、戦争というのは橋を壊した方が勝つわけですよね。道路も整備しないといけません。
あと、医療に、通信関連も。
空港や港湾も、軍事が民間利用に優先するということです。

 

【2】なぜこんなことになったのか。流れの中で見てみよう

なぜそんなことを決めたかについては、流れを見ないと理解できないので、年表をみていきましょう。
(文末に年表を添付しています)

1990年、この年には湾岸戦争がありました。
お父さんのブッシュの時代に、アメリカを代表とする多国籍軍が、イラクへの空爆を開始して、湾岸戦争が始まったわけです。
このとき、日本は、1兆7千億円の資金協力をしたけど、それだけでは足りないと考えて、この翌年の1991年、海上自衛隊がペルシャ湾で機雷除去の活動をはじめてやりました。

その後の92年6月に、PKO協力法(国連平和維持活動等に協力する法律)が成立して、陸上自衛隊が、カンボジアに派遣されました。
その後はほぼ毎年のペースで派遣しています。

93年、94年、この時、米軍が北朝鮮にミサイル疑惑があると言って攻撃の準備のために、防衛庁に1060項目くらいの要求をしたんです。
弾薬輸送のための10㌧トラックを148台とか、トラックとトレーラー1370台とか、クレーンとフォークを114台とか、空港や港湾の米軍の使用とか、要求しました。
でも、この時は、対応する法律がないということで、米軍は断念したんです。
日本が断ったわけです。それがアメリカにとっては非常に嫌だったみたいです。

94年に衆議院が小選挙区制になり、その後97年に日米で「日米防衛協力指針」(新ガイドライン)を結びました。
ここで、こういう補給とか輸送とか整備、施設提供、衛生(医療)、こうした後方支援を約束したのです。
この時に、民間の能力を活用しないといけないということも明文で謳っています。

その後1999年に、「周辺事態法」というのが成立しました。
これは、自衛隊が米軍の後方支援をするということを内容とするものです。
ここでは、①そのまま放置したらわが国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等の場合に、②わが国領域+周辺の公海と上空について、自衛隊が出て行けるというものです。
これまでは日本の国土が攻撃されたらそれに対して正当防衛できるだけだと言っていたわけですが、周辺事態法により、広げたわけです。
日本国土だけじゃなくて、周辺の公海と上空にも自衛隊が出て行ってかまいませんよという法律を、99年に通しちゃったわけですね。
これは大きな転換点だったと言われています。

その翌年に、アーミテージ報告がありました。
さて、クイズで「アーミテージを知っているか」の質問にマルをできた人、何人くらいいますか?

(数名手をあげる)
素晴らしいですね。
すごく勉強が進んでいて、私の話は退屈かもしれないですね(笑)。

このアーミテージ報告というのがすごくきっかけになっているわけですね。
さらに集団的自衛権の行使と有事法制の制定を、この人が論文で発表しました。
この人はアメリカのもと国務副長官で、もと軍人で、民間シンクタンクを主宰している人ですが、その人がはっきりと、米軍と一緒に行動する自衛隊になるように、そういうことができるような法整備をすべきだと言ったわけです。
自衛隊だけじゃなくて、自衛隊が米軍の後方支援をするために、民間人の動員体制を作るべきだと言ったんです。
有事法制は、そういう要請がもとになっているんです。

その後、2001年に9.11のテロが起こってきて、その後、海上自衛隊がインド洋に行ったり、テロ特別措置法というのを作ったりする。

その後2003年に、息子のブッシュの時代のアメリカを中心とする多国籍軍がイラクに侵攻して、イラク戦争が起こりますけれども、この2003年・2004年に、日本では、有事3法と7法を作るわけです。
この時に、武力攻撃事態対処法とか自衛隊法の改正とかをやるんですが、ここまで合計10本の法律を通したわけです。

それが、今回の11本の内の10本なんです。
昨年の安保法制は「11本の法律の束」と言っていますが、新法というのはたった1個だけなんです。
「国際連合平和維持活動に関する協力に関する法律」というものですが、それはPKOでも、いちいち法律を作らなくてもずっと協力できるようにしようという法律です。
あとの10本は改正法だったんです。
この10本は、それは1999年の周辺事態法と、2003年と2004年にできていたということです。

 

【3】 アメリカの疲弊と日本への肩代わり要求

結局、アメリカって、湾岸戦争以来ずっとずっと戦争を続けているんです。
もっと言うと、第二次世界大戦後で戦争をしていなかったのは5年ぐらいしか無いんですね。
誰かがネットでまとめていましたが、ベトナム戦争も含めてですが、戦争していなかったのって5年くらいしか無くて、ずっと戦争している国なんです。

9.11で、貿易センタービルの倒壊で約2700人亡くなりました。
でも、その後にアメリカ兵がアフガンとイラクに派遣されて、2014年までに6000人以上が死んでいるんです。

それほど犠牲が出ているのに、アメリカは勝利できないし、過激派のテロも増えています。
だから、財界的にもすごくしんどい。
もちろん、直接武器で儲けている企業は別でしょうけれども、やはり経済的にもしんどいし、国民の命どうするんだ、若者の命を守らなければいけないという世論もあるので、日本政府に肩代わりを要求してきた、そういう流れがあるということです。

 

【4】「ナイラの証言」を覚えておいて 

ここで覚えておいていただきたいのが、「ナイラの証言」です。

年表で見た、自衛隊が海外に派遣される最初の切っ掛けになった、1990年の湾岸戦争は、「ナイラの証言」で始まったということです。

ナイラという15歳のクウェート人の少女が、「クウェートの病院で、イラク軍が新生児室に入ってきて、高価な保育器を盗むために中に入っている赤ちゃんを床に投げ捨て殺したのを見た。」と泣きながら証言して、その証言のビデオを見たアメリカの国民の間に、湾岸戦争の支持の世論が高まっていったという話です。

でも、湾岸戦争が終わった後、メディアの検証で、ナイラは、本当は駐米クウェート大使のお嬢様で、ナイラも本名ではなく、証言ビデオもアメリカの広告代理店が作ったものだったことが判明したのです。

戦争は、いつでも、正義の名前で始まるけれど、プロパガンダに乗せられたらダメだということ、プロパガンダで始まった戦争が、憎しみの連鎖を生み、テロ組織の勢力拡大につながっているという点でも、覚えておきましょう。

 

【5】小選挙区制の影響について     

この年表を見ていますと、結局、ずっとアメリカが疲弊してきている流れの中で、自衛隊がだんだん海外に出て行く中で、ちょっとずつ変えてきて、今度一気にやったということですけど、やはり効いてきているのは、94年の小選挙区制です。

その10年後、2003年・2004年に有事10法が通りました。

その11年後の去年に、そのすごい改悪案ですね。ということで、小選挙区制が通ってから10年毎に、やっぱり準備して来てたんだなあということがわかりますね。 

 

憲法クイズの第6問で、皆さん、何に◯をされましたか。

  

6.2014年の衆議院小選挙区選挙について、正しいものに○をして下さい。

 ① 戦後最低の投票率だった。

 ② 自民党は、全国295の選挙区で223議席、76%の議席を獲得した。

 ③ 自民党の得票率は70%だった

 ④ 自民党の得票率は30%だった

 ⑤ 自民党の得票率は48%だった

 ⑥ 有権者全体での自民党の得票割合(絶対的得票率)は17%だった。

 

正解は①と②と④と⑥です。
戦後最低の投票率だった2014年の衆議院選挙で、自民党は、30%台の得票率で76%の議席を獲得しました。
選挙のあとも、無所属の議員を自民党に入れたりするのもあって、今、衆議院は290ぐらい自民党の議席があるんでしたっけ、比例とか含めて。
そういう中で、すごく自民党が多数になっているわけですよね。

でも実際は、絶対的得票率、有権者全体の中での得票率は17%なので、5人に1人も自民党を支持していないわけですよね。
選挙に行かなかった人が多くてそうなっているんだと。でも議席数では多数になっていて、だから、やりたい放題やっていますよね。
本来だったら、平和主義を守らなければいけないということで、今まで吉田茂なり、幣原喜重郎なり、その後の人も、宮澤さんにしても、みんな憲法に違反しないと言い訳をしてきましたよね。
でも、それも言い訳すらしないで済むようになってきている。
その中でとんでもない法律が通ってしまったということです。

 


【年表:湾岸戦争からの流れ】

1990  湾岸戦争 父ブッシュ ナイラの涙
1991 海自 ペルシャ湾で機雷除去
1992  PKO法 陸自 カンボジアへ
1993~94 米国→防衛庁1059項目の要求 対応法なく断念
1994  小選挙区制
1997  日米防衛協力指針(新ガイドライン)補給・輸送・整備・施設提供・衛生等後方支援を約束、中央政府、地方自治体の権限能力、民間の能力を活用
1999 周辺事態法
① そのまま放置すればわが国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態 
② わが国領域+わが国周辺の公海と上空
2000  アーミテージ報告 集団的自衛権の行使と有事法制の制定求める
2001 9.11 アフガニスタン侵攻 テロ特別措置法 海自インド洋 補給艦
2003 有事3法(武力攻撃事態対処法、自衛隊法ほか)イラク特措法
2004 有事7法(自衛隊法、米軍行動円滑化法、国民保護法ほか)陸海自 イラクへ
2005  自民新憲法草案
2006 第一次安倍内閣 防衛庁が防衛省に
2007  改憲手続法、イラク派兵延長 参院選で自民敗
2008 自衛隊イラク撤退 リーマンショック
2009  オバマ 衆院選自民敗 
2010  参院選与野党逆転
2011 東日本大震災・福島原発事故
2012 自民憲法改正草案 自民総選挙圧勝 第二次安倍内閣
2013 TPP参加表明 参院選民主敗北 秘密法
2014 改憲手続法改正 7月閣議決定
2015 新安保法制1本+10本   パリテロ
   存立危機事態=密接な関係にある他国への武力攻撃=わが国に対する攻撃
2016 参議院選挙