【7/10参院選】日本はEU離脱騒動の二の舞を舞うのか~憲法改正を止められるのは今です!
去る6月23日、イギリスで、EU(欧州連合)から離脱か残留かを決める国民投票が行われました。投票の結果、離脱派が勝利し、世界に激震が走りました。
離脱派が51.9%、残留派が48.1%と、3.8%の僅差でした(投票率約72%)。
この開票結果には、当のイギリスも困惑しているようです。開票後のGoogleの検索ワードランキングを見てみましょう。
第1位 What does it mean to leave the EU?(EU離脱の意味は?)
第2位 What is the EU?(EUって何?)
第3位 Which countries are in the EU?(EU加盟国はどこ?)
「第2位、EUって何?」!
このランキングを見れば、EU離脱国民投票に投票したイギリス国民のうち、3.8%以上、EUのことを何も知らずに投票をした人がいるのではないかと疑いたくなります。イギリスのEU離脱という世界を揺るがす、そしてイギリス内外の多くの人を不幸にするかもしれない決断は、EUのことを何も知らない一部のイギリス国民の手によってされたおそれが強いのです。
巷には「政府への抗議票のつもりで離脱に投票しただけだったのに。」とか「離脱に投票したけど、まさか本当に勝ってしまうとは。」といった嘆き節が溢れかえり、多くの国民が慌ててEU離脱の意味を検索し、国民投票のやり直しを求める請願署名が300万人を超えるまでになっているということです。
全くもって嘆かわしいとか、みっともないとか、情けない、ひどい、そういった声が聞こえてきます。
しかし、日本の国民にイギリス国民の民度を云々する資格が果たしてあるのでしょうか。
来る7月10日の参議院選挙についてのNHKの世論調査の結果です。
調査結果によると
投票先を選ぶ際に、最も重視したいこと
憲法改正 11%
今の憲法を改正する必要
必要ある・わからない 合計58%
与野党の議席数
与党議席が増えたほうがよい・どちらともいえない 合計65%
安倍内閣に対する支持
支持する 46%
そして、マスコミの選挙情勢分析によると、自民、公明、おおさか維新、日本のこころなどの「改憲勢力」が参議院議席数のうち3分の2(非改選含む)、すなわち憲法改正の発議に必要な議席数を確保する勢いということです。
情勢分析からは、憲法改正について主要争点とはしないながらも、選挙結果としては改憲勢力に大きな勢力を与える結果になりそうに見えます。
では、これら改憲勢力に投票しようという人たちのうち、一体どれだけの人が、改憲案の原型となるであろう自民党憲法改正草案がどのようなものか、また、改憲勢力が参議院の3分の2を占めた場合の改憲プロセスがどのような流れになるか、そして、今回の参議院選挙が憲法改正に向けてどれだけ重要かを理解しているのでしょうか。
正直言って、きちんと理解していない人の割合は3.8%どころの話ではないのではないかと思わずにはいられません。
しかし、参院選前にこのブログを見ることができたあなたは大ラッキー。憲法改正と今回の参院選の関係について一気に勉強してしまいましょう。
では、まずは自民党憲法改正草案を知るためのサイトをご紹介します。草案自体は自民党のホームページにも掲載されていますが、これを読んだだけでは草案がどういった意味を持つのかわかりにくいと思いますので、次のサイトを読んでみて下さい。
自民党憲法草案には何が書かれているのか? 木村草太×荻上チキ
自民党憲法改正案の緊急事態条項が、スターウォーズよりヤバい4つの理由 内山宙弁護士
自民党憲法草案と現行憲法の対照表
次に、憲法改正手続を確認しましょう。次のサイトで中学生の公民の授業で習ったことを復習しましょう。
中学社会 日本国憲法を改正するにはどうしたらいいのか
国会議員が憲法改正案の原案を国会に提案
・衆参両院の中の憲法審査会で審査
↓
衆参両院の本会議で3分の2以上の賛成で可決=国会が憲法改正を発議
↓
国民投票で可決
↓
憲法改正
手順としては以上のようになりますが、特に注意が必要なのは、国民投票で改正案に対する賛成票が投票総数の2分の1を超えると、国民が承認したことになることです。必ずしも全有権者の過半数の投票は必要ないわけです。
つまり次のケース1~3のいずれでも憲法改正はできてしまいます。
ここまで勉強すると、自民党憲法改正草案が右派も左派も関係なく、国民にとって極めて危険であること、そのため、何としても自民党による憲法改正は阻止しなければならないことがおわかり頂けると思います。
安倍自民党による憲法改正を止めるチャンスは3回です。
① 衆議院選挙で改憲勢力2/3を阻止する。
② 参議院選挙で改憲勢力2/3を阻止する。
③ 国民投票で否決する。
しかし、既に①では平成26年12月の衆議院議員総選挙で2/3阻止に失敗しています。そして今回の②参議院選挙が2回目のチャンスです。
ここで2/3阻止に失敗すれば、あとは③の国民投票だけです。
「③国民投票で可決なんて、できるわけがない」なんていう人もいます。
けれども、EU離脱国民投票の結果や、今回の参議院選挙の世論調査・情勢分析などを見て、なお、日本国民は理性的に最良の選択ができるなんて言い切れる根拠はどこにあるのでしょうか。
こんな時に楽観主義なんて役に立ちません。危機感を持つべきです。
憲法改正されてから再投票の請願署名を集めたって、文字通りあとの祭り。本当に止める気があるなら、止められるときに止める。
あなたの周りのできるだけ多くの人たちにも、憲法改正と参議院選挙の関係のことを教えてあげて下さい。
(弁護士 谷口和大)
※プリントアウト用に以下にPDFファイルも掲載します。
是非あなたのまわりの人たちに本ブログ記事の内容を知らせてあげて下さい!!
※憲法改正の危険をお伝えする以下の記事もあわせてご参照ください!