「戦争のつくりかた」~アニメーションと絵本~
「戦争のつくりかた」という短編アニメをご存じでしょうか。
「戦争したくなくて震える」と言ったSEALDsの女子がいましたが、このアニメは、まさに心を震わさずに見ることができません。
戦争しないと決めた国が戦争ができる国になる過程でどのようなことが起こっていくのか、大切なものが失われてゆく過程はどのようなものか、リアルに見せてくれるからです。また、作品の高い芸術性とそれを作り出した40人のアーティスト達の気概と努力に感動せずにいられないからです。
この短編アニメは、2004年に作られた絵本「戦争のつくりかた」が原作です。
2004年と言えば、武力攻撃事態対処法、改正自衛隊法、米軍の行動の円滑化のための関連措置法、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律など、有事10法の整備が完成した年です。
戦争できる国づくりの動きに危機感を持った芸術家たちが思いを込めて作られたのでしょう。
そして、集団的自衛権の行使容認の閣議決定がなされた2014年、夏からアニメの制作を開始し、改正安保法が成立した2015年10月、完成、公開され、現在までに、32万5000回、視聴されています。
アニメは、「戦争がどういうものか知らない」、「戦争のために何かをしたことがない」日本の子どもたちに語りかけます。
7分38秒の中で、
戦争が美名をもって始まること
集団的自衛権とはどういうものか
テレビ・ラジオ・新聞の報道規制、監視社会
戦費調達による国民の生活破壊 などなど
「国の仕組みや決まりを少しずつ変えてゆけば、戦争をしないと決めた国が戦争ができる国になる」ことを、平易な語りと映像と音楽がわからせてくれます。
自衛隊法などの民間人に対する強制措置についても、
「お店の品やあなたの家や土地も軍隊が自由に使えるという決まり」
「いろいろな人(医師、看護師、トラック運転手、建築会社の人、ガソリンスタンドの人)が軍隊の仕事を手伝う決まり」
と紹介しています。
手堅い法律監修とやさしい解説を両立させているところも見事です。
このblogの読者の中には、既に絵本も持っているし、アニメも見たという方が多いかもしれませんが。。。
参議院議員選挙の投票の前に、初めて選挙権を行使する高校生のお子さんをはじめ、あなたの愛する人、大切な人と一緒に、もう一度見てみてはいかがでしょうか。「戦争をしない方法を選びとることもできること」を心に刻むために。
(弁護士 山下 信子)