近未来ミニ小説「あしたの世界」
私は田村A(70歳)。私は、日本海沿いの風光明媚な町に、田畑と山林を所有し、手広くメロン・桃など果実の栽培を営む専業農家である。 私は、長年、地元の農業関係の役職を担ってきた。今も現役で、妻、長男、長男の嫁といっしょに畠に出ている。 近在に…
「えっ、うそでしょ?何で会社員のあなたが『戦地』へ行くの!」 妻が言う。そりゃそうだ、僕だって最初は耳を疑った。でも本当の話。 「戦地っていうか、『海外出張』なんだって・・・」 苦し紛れに僕は言う。
私は、52歳のパート主婦。 京都市内の会社に勤務する夫と、看護師の娘(25歳)がいる。 娘は京都市内の私立大学の看護学科を卒業して、京都市内の公立病院の看護師になった。
夫の名は田村守。35歳。陸上自衛隊に勤める自衛官だ。 中学生のとき、神戸で阪神大震災に被災した経験があり、そのとき見た自衛隊員の姿にあこがれて、高校卒業後、自衛隊に入った。 いま、夫は休暇中。というか「休職中」。 ある「出張」から帰ってきたま…
時は、2017年5月。 「あきら君、どうしよう! 私、『自主防災組織』のリーダーになんかなりたくないし、研修会にも出たくない。どうやったら断れるやろか?」 夫は言った。「なんでや? 災害の避難訓練の研修なんやから、ええことや。ゆみが行ったらえ…