【京都の弁護士グループ】安保法制に異議あり!怒れる女子たちの法律意見書(※男子も可)

怒れる京都の女性弁護士たち(男性弁護士も可)が安保法制の問題点について意見するブログです。

【7/10参院選】理論的に「憲法改正」だけが唯一の争点~憲法改正を阻止できるのは今です!

NHKの世論調査で、投票先を選ぶ際に、最も重視したいと考えることについての質問がありました。
結果は上位から順に、社会保障(29%)、経済政策(25%)、消費税(12%)と続いて、その次にようやく憲法改正(11%)でした。

自民党のホームページを見ても、政策の最後尾にこっそりと、全く内容のないことが書いてあるだけです。

政策BANK|参議院選挙公約2016

安倍首相も「参院選での争点化は不要」などといって何も説明してくれません。

野党が与党の憲法改正を攻撃してみても、与党が議論に応じず、結果国民の意識もなかなか高まらないのかもしれません。

 

しかし、今回の参議院選挙での争点は何かと問われれば、「憲法改正」と答えることになります。

誤解を恐れずに言えば、争点は理論的に「憲法改正」しかありません。今回はそのことをご説明しましょう。 

 参議院議員の定数は242名で、3年ごと121名ずつの半数改選となっています。

今回の参議院選挙での改選枠の内訳と、非改選枠の内訳は次のようになっています。

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このようにグラフで見ると、自公連立政権の勢力は改選枠に比べて非改選枠の方でかなり強いことがわかります。
今回の参議院選挙の結果を問わず、非改選枠での自公の圧倒的シェアは揺るぎません。

そのため、民進党、共産党、社民党、生活の党の野党主要4党で参議院で過半数を取るためには、改選枠で合計76%以上のシェアを確保する必要があります。
しかし、マスコミ各社の選挙情勢の分析をみても、そのような結果になることは現実的に考えられません。

一方で自民党、公明党の与党は改選枠で37%以上を確保すれば、参議院で過半数を占めることができ、これは容易な数字のように思われます。

それどころか、自民党が単独で46%以上を占めれば、参議院での自民党単独過半数も可能です。そして前回の参議院選挙(今回の非改選枠)の結果からすれば、これすらも現実的な数字のように思えます。

つまり、今回の参議院選挙によって、衆議院の支配勢力と参議院の支配勢力が異なる、いわゆる「衆参のねじれ」が発生することはまず考えられません。
それどころか、自公政権が参議院において現在よりも更に強い安定勢力を築く可能性がほぼ確実なのです。

 

したがって、今回の参議院選挙の結果によって、政権与党が変わらないのは勿論のこと、自公政権は今までと変わることなく政策を決定してゆくでしょう。

特に昨年の安保法案の審議、採決を見てもわかるように、安倍政権は良く言えば突破力のある、悪く言えば国民の声を聞かない政権なので、あなたが自民党に投票しようがしなかろうが、その一票が安倍政権の政策に影響を与えることはほぼないでしょう。

 

ただし、憲法改正だけは別です

憲法改正の発議のためには各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要です(憲法第96条)。そのため、今回の選挙の結果によって参議院における改憲勢力の議席数が3分の2を割り込めば、自民党が目指す憲法改正は困難になります。

そこで、非改選枠における改憲勢力のシェアを確認してみましょう。

 ※改憲勢力…自民、公明、おおさか維新、日本のこころ、無所属4名
  阻止勢力…民進、共産、社民、生活、元気、新党改革、無所属4名

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非改選枠での改憲勢力は74%です。したがって、改選枠で改憲勢力が60%を越えれば、憲法改正の発議が可能になり、憲法改正はリーチとなります。

逆に言うと、野党主要4党が中核をなす改憲阻止勢力が改選枠で40%以上のシェアを確保すれば当面安倍政権による憲法改正は阻止できます。 f:id:gekidojo:20160708062722j:plain

改憲阻止勢力で40%以上。この数字なら、あなたの1票次第で、あるいは…。

  

我々の生活に密着する、社会保障、経済政策、消費税の問題は重要な問題です。外交・安全保障、原子力政策もそう。国民が関心を寄せるのは大切なことです。

しかし、あえて言いましょう。
今回の参院選で憲法改正以外の争点を意識して票を投じても、投票を通じてその思いが政治に反映されることはない。
あなたの票は死票となります。

安倍政権による憲法改正に賛成か、反対か。
自分の思いを政治に反映させたいと思うなら、その1点で投票先を選ぶしかありません。

 

改憲勢力が2/3を取れば、安倍政権は確実に憲法改正シフトに舵を切ります。
突破力のある安倍政権、国民の声を聞かない安倍政権。
衆参両院で2/3を確保した安倍政権が、それから国民の声を聞きながらじっくり改憲案を考えることなんておよそ考えられないことです。

参院選までに「押しつけ憲法だ」という感情論や「制定後70年経った」という抽象論を出て、自民党憲法草案がどのようなものかを知って下さい。
そしてあなたの投票先を決めて下さい。

 

参院選後に憲法改正の是非を考えたって、もう手遅れになっているかもしれないのですから。

                    (弁護士 谷口和大)

 


※配付用にPDFファイルも掲載します。是非あなたのまわりの人たちに本ブログ記事の内容を知らせてあげて下さい!

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※自民党の憲法草案自は自民党のホームページにも掲載されていますが、これを読んだだけでは草案がどういった意味を持つのかわかりにくいので、以下のサイトをぜひご一読ください!

synodos.jp

www.huffingtonpost.jp

tcoj.blog.fc2.com

 

※以下の記事もあわせてどうぞ。

gekidojo-kyoto.hatenablog.com

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