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【京都の弁護士グループ】安保法制に異議あり!怒れる女子たちの法律意見書(※男子も可)

怒れる京都の女性弁護士たち(男性弁護士も可)が安保法制の問題点について意見するブログです。

ウェブ学習会「今さら聞けない集団的自衛権」第2回~「許容性」を考えるということ

 前回は、新しい安保法制で可能になった集団的自衛権の行使が具体的にどのような法律の規定になったかをご紹介しました。

ウェブ学習会「今さら聞けない集団的自衛権」第1回~なにができるようになったか - 安保法制に異議あり!怒れる女子たちの法律意見書(※男子も可)

 復習しますと、今回の改正で、次の3つの場合において、内閣総理大臣は、自衛隊に出動を命ずることができ、「武力の行使」ができるようになりました(自衛隊法76条1項,88条)。

① 我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態
② 我が国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態
③ 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆られる明白な危険のある事態

 このうち上記の赤い部分が、今回追加されて、「集団的自衛権」の行使が可能になったとされる規定です。

 

 第2回となる今回は、この「集団的自衛権」の規定が日本国憲法上許されるか、ということを考えます。

 テレビのニュースなどで賛成派の声としてよく紹介されていたものに、「私は、日本にも集団的自衛権が必要だと考えるので、安保法案には賛成です」というのがありました。 

 政府も、昨今の国際情勢を強調して「必要性」ばかりを強調していましたから、こうしたコメントが増えることはやむをえないかもしれません。

 でも、法律の世界では、「必要性」だけでなく「許容性」を考えるというのが、当然至極、超当たり前の大原則です。

 「必要性」だけでなく「許容性」を考えるという話は、なにも難しいことではなく、身近なところでいえば『家計』でいつも考えていることですよね。「必要」だからといってバンバンお金をつかってしまえば家計は破たんしてしまいますから、私たちはお金をつかうときにはいつも「許容性」について考えているはずです。


 国の行為について「許容性」を考えることはより重要です。
 たとえば、「必要」だからというだけで、簡単に逮捕されてしまったらどうでしょう? 私たちの人権を守るために,逮捕には厳格な要件が課されていて、原則として裁判所の許可が必要とされています。
 それは、憲法33条によって次のように定められているからです。

日本国憲法33条
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

 憲法33条は、私たち国民の身体の自由が不当に侵害されないように定められたものです。
 具体的な逮捕の手続は、「刑事訴訟法」という法律によって定められていますが、当然その規定は憲法33条に違反しないように定められています。
 仮に憲法33条に反する法律が定められたとすれば憲法98条1項によって無効となってしまいますし、憲法99条によって国会議員には憲法擁護義務がありますので、憲法に違反しない法律を作るのは当たり前のことなのです。

日本国憲法98条1項
この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

日本国憲法99条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 これが「許容性」の話です。
 国の行為について「許容性」を考えるのは、私たちの基本的な人権を守るためですし、また国民主権や平和主義、三権分立といった、基本的人権を守るための国の基本ルールを守るためのものなのです。だからものすごく重要です。
 立法行為であれば、その法律が憲法に違反しないことが必ず必要になりますし、行政行為であれば、その行為が法律や憲法に違反しないことが必ず必要です。

  

 さて、今回の安保法制における問題も同じです。集団的自衛権を容認する法律をつくるということが、憲法に違反しないかという「許容性」の問題が争点です。

  「私は、集団的自衛権が日本に必要だと思うから、安保法案に賛成です」というコメントは、「必要性」について語っているだけで、「許容性」についての議論をすっ飛ばしていることになります。
 もし憲法上許容されないのであれば、集団的自衛権が日本に必要だと考える人たちは、憲法改正をしたうえで、その法律を成立させることを考えないといけません。
 それがこの国のルールです。

日本国憲法96条
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

 「集団的自衛権」が必要と考える方にとっても、「許容性」の議論はご自身やご家族の基本的人権を守るためにとても大切なもののはずです。 
 では、その問題の「許容性」については、どのように考えられるでしょうか。

 すみません、前置きが長くなってしまいましたので、次回に続きます。。。

 (弁護士 古家野晶子)