デモが反対派議員に力を与える~ホームとアウェーを逆転させる12人目のプレーヤー
デモは、「国民」vs「国会議員」という視点で効果があるだけではありません。
安保法案反対派議員との関係でも見てみましょう。
デモをいくらやったところで、国会で国民の声として代弁してもらえなければ、「効果がない」「やっても意味がない」ということになりかねません。
政権側のマスコミが、デモをなかったことにしようと言わんばかりの扱いをしようとしているのは、デモで示された国民の声を国会に届けないためです。
国会議員は全国民の代表(憲法43条1項)であり、国民の声を国会という場に届ける代弁者です。
そこで、安保法案反対の声の代弁者、つまり反対派議員が必要となりますが、デモは、反対派議員の応援にもなるということを忘れてはなりません。
サッカーでは、観客をサポーターと呼び、12人目のプレーヤーだと表現することがあります。
サポーターの影響が非常に大きいため、ホームとアウェーで勝率が変わったりします。
他の競技でも同じでしょう。
国会も同じで、応援のないところで反対派議員が孤立無援の戦いをすると、厳しい戦いになります。
国会議員といえども人ですので、いくら責任感や使命感が強い人でも、孤立無援だと勢いもなくなります。
反対派議員が大勢の国民を代弁し、いくら応援団がいても、その声が届かない国会ではアウェーになってしまいます。
さすがにそれは辛いですよね。
まして、全く議論にならない人を相手にしていると、空しくなってきたりします。
しかし、今、大勢の国民が国会を包囲しています。
全国各地でたくさんの集会が開かれ、デモが起こっています。
今や国会は、過半数を制している自民党公明党にとってアウェーになりました。
反対派議員にとってはホームになりました。
国会だけでなく、全国がそうだとも言えるでしょう。
今、賛成派議員と反対派議員の両方に同時に同じ声が届いているという状況が、ホームとアウェーを逆転させたのです。
全国各地のデモが国会のデモが後方支援し、国会のデモが前線となって、反対派議員を勇気づけているのです。
山本太郎議員が勢いよく質疑できるのも、デモがあってのことなのです。
デモがなく報道もされなければ、無視されて終わらされていてもおかしくありません。
デモは反対派議員を勢いづける、これも非常に有効なことです。
そして、今回のデモが有効であるのは、今回のデモがあるからだけではありません。
原発反対運動、沖縄の基地反対運動など、これまで数多くの色んな運動があり、それが立憲主義破壊の局面で結集しているからです。
デモは間違いなく必要で有効です。声を聞き届け、代弁してくれる反対派議員をもっともっと励ましましょう。
(弁護士 佐野就平)
※こちらの記事もどうぞ。