【京都の弁護士グループ】安保法制に異議あり!怒れる女子たちの法律意見書(※男子も可)

怒れる京都の女性弁護士たち(男性弁護士も可)が安保法制の問題点について意見するブログです。

【寄稿】立場をこえて~弁護士 橋本弥江子

※橋本弥江子弁護士からご寄稿いただきました!

  私が初めて参加したデモは、今から10年以上も前、自衛隊イラク派遣反対デモでした。

 日曜日の昼間、100人くらいで、四条通りを行進していると、「ひとの迷惑を考えろ!」とバスを待っていた中年女性から怒鳴られました。
 問題意識を共有してもらえないどころか、迷惑がられているんだと知って、とてもショックを受けたのを覚えています。

 先週土曜日、久しぶりにデモに参加しました。
 安保法案に反対するパレードです。
 5000人を超える市民が円山公園に集まり、その後、祇園から四条河原町京都市役所までの道のりを歩きました。
 道中、歩行者が立ち止まって、手を振ったり、拍手をしてくれたりと、沿道との一体感があり、昔とはずいぶん雰囲気が変わったな、と思いました。

 

 安全保障論については、さまざまな立場があります。
 そもそも、憲法第9条は、自衛戦争を含めいかなる戦争も禁止しているという見解もあれば、自衛隊の存在は認めるとしても、海外派兵は許されないとする見解もあります。

 同盟国が戦争に巻き込まれたときに、自衛隊を派兵すべきか、という集団的自衛権行使の是非についても、賛成・反対の立場があります。
 私も、政策論として、集団的自衛権に絶対反対かと問われると、断言できません。
 「日本が他国から侵攻を受けたときに、日本は独力では防衛する軍事力はない。他国からの援助が必要であるが、日本が他国を軍事的に助けた実績がなければ、どの国も助けてくれないのではないか。そのためには、他国の戦争に参加しておくことも必要なのではないか。」という思いがよぎるときもあります。

 ただ、これだけは、言えます。
 集団的自衛権を行使したいならば、憲法を改正すべきだ、ということです。
 国の根幹を揺るがすような大きな変更を憲法解釈の変更だけで済ませようとする姿勢を受け入れることはできません。

 立憲主義の下では、国家権力は憲法に拘束されます。
 時の政権が、解釈ひとつで憲法違反の法律を制定することが許されてはなりません。
 この意味では、たとえ日本も集団的自衛権を持つべきだという立場であっても、今回の安保法案には反対すべきなのです。

 

 先週日曜日には、雨の中、10万人を超える人々が国会前に集まり、安保法案反対の声を上げました。
 このなかには、集団的自衛権そのものには、反対ではないひとも含まれているのではないでしょうか。
 憲法違反の法案が強行採決されようとしている、立憲主義の危機を感じて、多くの人々が声をあげているのだと思います。

 私が体験した10年前のデモのときとは異なる、大きなうねりを感じるとともに、この運動が安倍政権の暴走阻止につながることを願ってやみません。

 

(弁護士 橋本弥江子)

 

※ 憲法9条京都の会による9月13日(日)府民大集会のご案内です。
  奮ってご参加ください!

9-kyoto.net