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【京都の弁護士グループ】安保法制に異議あり!怒れる女子たちの法律意見書(※男子も可)

怒れる京都の女性弁護士たち(男性弁護士も可)が安保法制の問題点について意見するブログです。

シビリアン・コントロールって何?

8月11日の参議院の審議で、自衛隊統合幕僚監部が、安保関連法案の成立を前提とした資料を作成していたことが問題となりました。

 

news.tbs.co.jp


法律が成立していないのに先走って自衛隊が具体的な準備行動をしていたこと、またそれを中谷防衛大臣が知らなかったとすれば、文民統制(シビリアン・コントロール)の原則に反するとして問題になっています。


これのどこがいけないか。
普通の法案なら、官僚が法律成立後の準備を事前にしておくことはむしろ普通のことでしょう。
迅速に円滑に法の内容が実施されるのは望ましいことですから。


しかし、軍事に関してはこれは大きくNG。
正規軍を保有するアメリカやイギリスでさえこれはダメなことです。
職業軍人(Militalian)は国民から選挙で選ばれた者ではなく、軍事的な選択判断に国民のコントロールが及ばないからです。
軍部の独断暴走を防止し、国民に対して責任を負っている文民政治家(Civilian)に軍を完全に掌握させ指揮監督させる。
民主主義の国なら世界中のどの国も皆守っている鉄則です。
日本だけの特殊な風習(?)なんかではありません。
ここが大事なところ。

憲法にも根拠規定はあります。
66条2項に「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」とあります。
現行憲法制定前は、職業軍人が一定数国務大臣をしており、その発言権が強く戦争拡大を止められませんでした。
その反省に立ち、国政から職業軍人を排除するための条文ですが、軍事組織に対する文民統制の意味も当然に含んでいます。


もちろん、現行憲法制定時はもはや日本軍は存在しません。
自衛隊すら存在しません。
後に自衛隊ができますが、憲法制定の経緯からすれば、自衛隊を政治(文民)が完全にコントロールすべきことは自明なのです。
ですから自衛隊法は「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する」「防衛大臣は、この法律の定めるところに従い、自衛隊の隊務を統括する」と定めています(7条、8条)。

さて、中谷防衛大臣がホントに自衛隊の動きを知らなかったとすれば、自衛隊が大臣のコントロール下になかったということで大問題。
実は知っていて放置していた、あるいは命じてやらせていたとすればもっと問題。
国会でやっている真剣な議論、国民の声を余りにもバカにしています。
「軍事」に関わることは一般の法案の場合とは違う神経を必要とするはず。
シビリアン・コントロールへの無理解、今回の法案を一般の法案の成立後準備と同じ感覚で取り扱うセンスは、恐らく軍事先進国アメリカなどからも不安視されるのではないでしょうか。

「おい、日本こんなんで大丈夫か?」と。

(弁護士 吉田誠司)